時間がねえ

I can hear you

「なんで塾に携帯があんだよ……?」

中学生のころ。

授業中に携帯を鳴らしてしまった生徒が、携帯を取り上げられた。

翌週。

「また没収されるかもしれないだろ?」

その生徒が言った。

「だから、着信音をモスキート音にしておいたんだ」

授業が始まると、さっそく誰かがメールを送ってみた。


生徒たちが一斉に顔を上げる。

先生は黒板に文字を書き続けていた。


今度は、生徒たちが顔を見合わせた。

先生は最後まで振り返らなかった。

もう 歌もあんまし 聞こえねえんだ

もうちっとで オレは……

心の底から『翻訳者』になっちまう