「違う」と言ってほしかったあの夏
バカにしないでよ
受験の天王山とやらが近づいていたころ。
どうしても納得のいかない英語の教え方をする先生がいた。
英語を読むときに大切なのは、まず動詞を数えること、そう言うのだ。
なんで頭から読んでいかないのか、僕にはわからなかったし、いまだにわからない。
英語を頭から読むという自分のやり方を否定された僕は混乱し、担任に相談した。
「う~ん。あの先生はね、難関大志望者に教えてる先生だから…」
ちょっと待って!
それってつまり、僕は頭が悪いから、あの先生の教え方に納得できないってこと?
「過去に、僕と同じようにあの先生の教え方に疑問を持つ人はいなかったんですか!」
「ん~、一人だけいたかな」
いたんだ!
でも、たったの一人…。
やっぱり、間違っているのは僕なのかな?
そんなはずはない。
でも、僕は自分の考えが正しいのか自信を持てなかった。
だって、僕は今以上に何者でもなくて、自分は英語が「できる」なんて、とても思えていなかったから。
SAY NO
悶々とした日々が続いていたある日。
別の先生が「英語は頭から読む」と教えてくれた。
それだけじゃない。
「まず動詞を数えるな」とまで言ってくれたんだ。
遅いよ!
その言葉をどれだけ待っていたか。
でも、その言葉のおかげで僕は、自信を持って自分が信じる正しい道を進み始めることができたんだ。
ありがとう、先生。
俺をだますことなく生きてゆく
「それは違う」と勇気を持って言ってくれる人がいるおかげで、自分の道を正しいほうに軌道修正できる人がいる。
言いたいことも言えないこんな世の中だから、「こうしろ」があふれていて、敵を作りやすい「こうするな」をわざわざ口にしてくれる人は少ない。
それでも、自分にとって正しい「こうするな」という言葉も大切に集めていきたいし、僕もそう言える勇気を持ちたい。
「動詞を数えるな!」
消えないように、ここに文字として刻んでおこう。
あの夏の僕が、この言葉で救われるかもしれないから。